5.小さな村へ


 足止めされた遅れを取り戻そうとするように、一行は黙々と山道を進んでいった。
 しかし、道はだんだんと、獣道めいた悪路になってきた。
あまり行き来する人もいないのだろう。
 そしてやはり、それぞれに戦闘の疲れは感じていて、
今日中に村へ着くのは諦め、どこかで休むことに決めたのだった。

 なんとか野営を張れそうな場所を見つけて、昨日のように焚き火の準備を始めると、
シェベットが荷物から小さな鍋を取り出した。
それを持って、みんなの傍を離れ、どこかへ歩いてゆこうとする。

「どこ行くんだ、シェベット?」

 ユーリが呼び止めると、シェベットは林の中を指さして、

「さっき、向こうで水の音がしたんだよ。川でもあったら、水汲んでくる」

 薪を組んでいたサニーが顔を上げた。

「大丈夫か、一人で」
「平気だよ。火、起こしといてくれな。
 あと、鍋置けるようにしてくれると助かる」

 シェベットはひらひらと手を振って笑うと、茂みを分けて林の中へと消えていった。

 ユーリ達は鍋を吊るせるように木を組み、火を起こすと、焚き火の傍に集まって座った。
 外套の前をかき合わせて、ソラヤが、ふう、と息をつく。

「昨日より冷えますね」
「山の中だからでしょうか」

 そう答えたラーフラも、膝を抱えて縮こまるようにして座っているけれど、
表情も声色も、なんだかうきうきとした様子だ。

「ラーフラ、なんか楽しそうだな」

 ユーリがそう言うと、ラーフラは真鍮色の目を細めて、ユーリを見返した。
……上目気味な視線のせいもあって、どうにも睨んでいるような雰囲気になってしまうのだが、
どうやら、これが彼なりの、かなり機嫌の良い笑顔らしかった。

「楽しくなるのは、これからですよ。
 シェベットが、何か美味しげなものを作ってくれるらしいです」

 ラーフラの言葉を聞いて、ユーリもソラヤも、サニーも笑った。
 フィオナは話を聞いていないのか、物思わしげな表情で、静かに焚き火を見つめていた。


 それからしばらくして、シェベットが戻ってきた。
鍋を重そうに抱えて、よたよたと歩いてくる。

「……大丈夫か」

 サニーが声をかけると、シェベットは鍋を一旦、地面に置いた。苦い表情で手首を振って、

「しまったぜ。水入れたら、意外と重かった……。
 一緒に来てもらっときゃよかった」

 サニーは苦笑して立ち上がり、シェベットの代わりに鍋を持ってくると、焚き火の上に吊るした。
シェベットは「いや、すまん」と、少しはにかんだような笑みを浮かべて、その後ろをついてきた。

「――それで、」

 と、ラーフラが期待に満ちたまなざしでシェベットを見上げる。

「約束通り、料理するぞ。まあ、待ってろ」

 シェベットは鍋に汲んできた水で湯を沸かし、
干した香草や肉や、豆やチーズなどでスープを作ってくれた。

 その様子を、子供のようなきらきらとした目で見つめていたラーフラは、
出来上がったスープを真っ先によそってもらうと、
「いただきます」の言葉が終わるか終わらないかのうちに、匙を口に入れ――
喜びをこらえきれない様子で、言葉にならない声を上げた。とと、と足で地面を踏み鳴らす。

「素晴らしい。最高です……!」

 みんなの分のスープを配りながら、シェベットは笑った。

「そりゃ良かった。
 あんな魔法見せられちゃ、美味いもん作らないわけにはいかないからな」

 ソラヤは少しの間、器で手を温めるようにしてから、匙を口に運んだ。

「温まりますね」
「本当、美味いよ」

 ユーリはそう言うと、隣で黙って食べているサニーの方に首を向けて、

「なっ、サニー」
「ん? ……ああ。美味い」

 ぼそりと答えて、サニーはまたスープに口をつけた。

 フィオナは、堅パンをスープに浸して食べながら、アミナのことを思い出していた。

(あたしは、飢えずに凍えずに暮らせる家に生まれて。
 習い事や、勉強や、剣や、色々なものに触れる機会があって。
 そしてそこから、やりたいことを選べた――
 ううん、選べなかったから、飛び出してきたのだけれど。
 でも、今……こうして、冒険者としてここにいることができている)

 アミナが、どんな境遇から野盗をすることになったのかは、わからないけれど……。

  ――わかんないだろうよ。あんたみたいな子には。

 ふと、アミナの言葉を思い出して、フィオナの胸はちくりと痛んだ。
 きっと毎日、生きるか死ぬかの暮らしをしているのだろう彼女と比べたら、
フィオナが息苦しく感じていたあの家だって、楽園のような場所なのかもしれない。
 そんなことを考えて、フィオナは、ぽつりと呟いた。

「あたし、贅沢なのかしら」

 仲間達は、フィオナを見てまばたきした。ソラヤが、ああ、と、少し眉を下げて、

「さっきの、アミナのことですか? 気にしなくていいと思いますよ」

 サニーが頷く。

「夢を見ることが難しかったり……辛い時というのは、あるだろうが。
 贅沢とは何か違う気がするな」
「やりたいことがあって、それができるなら、その方がいいですよね」

 ラーフラはそう言うと、少し声を落として付け足した。

「……暮らしている環境の差というか、そういうものに歯がゆさを感じる気持ちは、
 まあ、少しだけわからなくもない部分もありますが」

 それを聞いて、ユーリはちょっと首をかしげた。

「でも、フィオナだって、家にいて苦しかったのは本当なんだしさ。
 どんな人でも、悩みとか……上手くいかないことってあるんだよ、きっと」
「ユーリは、何か悩みってあんのか?」

 シェベットが訊ねると、ユーリは、うーん、と腕組みして考え込み、

「今は、ないかな。毎日楽しいし。
 もっと強くなりたいとか、そういうことは思ったりするけどな」

 と笑って、頭の後ろで手を組み直した。

 フィオナはみんなの言葉を反芻するように、
少し顔をうつむけていたけれど、やがて視線を上げた。

「ありがとう。……ごめんね、なんだか、励まさせたみたいで」

 シェベットは、鍋をかき混ぜながら笑った。

「いいよいいよ。すっきりしないことは吐き出しちまいな。
 ――って、俺は特に励ませてないわけだが……。
 色々考えてはみたんだが、何か言えるような立場でもないんだよな」
「どういうこと?」

 フィオナが聞き返すと、シェベットは笑顔にかすかに自嘲の色を滲ませて、

「俺も、他にやりたいことが見つからなくて、盗賊やってるわけだからさ。
 さっきの奴らと、一緒っちゃ一緒だ」
「お前は冒険者だ。あいつらとは違うだろう」

 サニーがすぐにそう言い返し、フィオナも頷いた。

「『その辺の泥棒と一緒にしてもらっちゃ困る』って言ったのは、あなたじゃないの。
 ……それに、あたし達と冒険してくれてるのは、やりたいことには入っていないわけ?」

 後半は少し拗ねたように、フィオナは言った。
 シェベットは呆気に取られたような表情を浮かべて、

「お……お? ああ、まあ、そうなんだが……。
 いや、冒険は確かに、俺がしたくてしてるんだが――うん。そうか」

 視線をフィオナ達から逸らし、照れ隠しのように、鍋をぐるぐるとかき混ぜた。
 そこに、ラーフラが獲物を狙うような目を向ける。

「ところで。スープ、もう一杯おかわりしていいですか?」

 シェベットは、ラーフラの目つきのあまりの鋭さに少し笑って、頷いた。

「好きなだけ食え。
 みんなも、食いたかったら急げよ。早くしないと売り切れる」

 フィオナは残っていたスープをぐっと飲み干すと、空の器を差し出した。

「あたしもいただくわ。今、やっとお腹が空いてきたのよ」


 食事を終えると、今日も交代で見張りをしながら休むことにした。
 シェベットは、見張りついでに(もちろん周囲は警戒しつつ)洗った鍋を片付けたり、
武器の手入れをしながら過ごしていた。

 と、視界の隅に、何かちらちらと光るものが見えたと思って、シェベットはそちらに顔を向けた。
 一緒に見張りをしている、サニーの首元。
彼が首巻きに付けている、琥珀のような石の中に、焚き火の明かりが溶け込んで光っている。

 光り物が好きなシェベットとしては、密かにずっと気になっていた物なのだけれど、
以前はなんとなく、サニーにはつっけんどんに接されていたので、
聞いてみるのも躊躇われていたのだった。
 でも、今なら、と、シェベットはその石を指さして、訊ねた。

「なあ。前から気になってたんだが、その石って、なんだ?」

 サニーは、突然静寂を破られたことに驚いたのか、顔を跳ね上げて、まばたきした。
首巻きの石に視線を落とすと、ああ、と頷いて、

「これは私の『護り石』だ。
 エルナシムには、『星読み』という魔術師がいてな。
 子が生まれると、星詠みがその子を導く『護り星』を読み、
 その星の印を刻んだ石を守りとして授けるんだ」

 サニーの石には、長い線が縦横に、短い線が斜めに、
それぞれ四本ずつ放射状に伸びた印が刻まれている。
言われてみれば、星を表す形のように見える。

「へえ。お前のは、なんの星なんだ?」
「……『太陽』」

 サニーが低い声で答えたので、シェベットは何故だろうと思ったけれど、

(ああ。砂漠じゃ、あんまりありがたくない星なのかもな……)

 砂漠の国では、太陽が昇れば灼熱の風が吹き、沈めば今度は凍えるような寒さが訪れて、
弱いものの命はたちまち奪われてゆくという。
 シェベットは、「俺はいいと思うけどな、太陽」と呟いて、それから腕組みした。

「俺も欲しいな。
 エルナシムに行けば、俺の『護り星』とやらも、読んでもらえたり……しねえか」
「外の民に、護り石を授けたという話は聞いたことがない、が……。どうだろうな」

 サニーは首をかしげた。
 エルナシムの生まれではないサニーの祖父は、護り石を持っていなかったけれど……。
『護り星』は生まれた日と時間と、そのときの天の星の位置などで読むのだという。
それならきっと、外の民にも『護り星』はあるだろう。

(だが……シェベットは、捨て子だったと言っていたな。
 もし、生まれた日を自分で知らなくても、『星読み』には読めるのだろうか)

 サニーには、『星読み』の才はない。
太陽や月や、他の星の光を隠してしまうような明るい星を『護り星』に持つ者は、
『星読み』にはなれないのだと言われている。

 ――と、しばらく考えたあと、
サニーは、シェベットの視線がずっと自分の首元に向いていることに気がついた。
なんだか居心地が悪いような気分になって、言い訳をするように口を開く。

「しかし、そこまで良い物でもないぞ。
 護り石が傍にあると、良くも悪くも星の影響を受けてしまう。
 普段は身に着けない者も多いんだ。
 星の力を借りる魔法が強くなるから、私は持つようにしているが」
「ふうん……」

 星の影響、太陽の影響……と考えてみて、
シェベットはふと思いついたことを聞いてみた。

「……ひょっとして、それで、陽が沈むとすぐ眠くなってんのか?」

 サニーは答えなかったが、否定もせず、すっと視線を逸らしたあたり、どうやら図星のようだ。
 思わず、シェベットがかすかに笑い声を漏らすと、
サニーはなんだか悔しそうな表情で唸った。


 次の日の昼頃に、一行はようやく目的の村へと辿り着いた。
 村を囲む、しっかりとした石造りの塀の上には、
魔物などの侵入を防ぐためだろう、先を尖らせた木の返しが据えられている。

 入り口の門の傍には、見張り役らしい若い男の人が立っていた。
若者は一行の姿に気がつくと、持っていた槍を構えた。
警戒の色を宿した瞳で、六人をじろじろと睨む。

「何者だ、あんた達は?」
「冒険者だ。ハルネス薬店からの依頼で、薬を届けに来た」

 シェベットがそう答えて、フィリップから預かった手紙を差し出した。
封蝋に、ハルネス薬店の印が押されている。
それを見ると、その人は表情を緩めて槍を下ろし、

「これは失礼した!
 わざわざこんな辺鄙な所まで来てくれて、ありがとうよ。先生もお待ちかねだ」

 と、笑顔で治療院までの道を教えてくれた。
 その様子を見ていた村の子供達が、人懐こく駆け寄ってきて、一行を取り囲んだ。
きらきらした瞳で見上げて、
「旅人さん? 冒険者さん?」「なにしにきたの?」と口々に訊ねる。

「冒険者さんだよ。先生に薬を持ってきてくれたんだ」

 見張りの若者がそう言うと、子供達は張り切った様子で、一行の腕を引いた。

「先生のところに行くの? つれてってあげる!」

 一行はちょっとだけ苦笑気味に笑い合い、見張りの若者に手を振って、村の門をくぐった。

 門の向こうには、小さな建物が並び、畑があり、
水車が優しく回っていて、穏やかな時間が流れていた。
 村の人々は冒険者達を見つけると、なにやらささやき交わしたり、
物珍しそうな視線を向けたりしている。

 と、一緒に歩いていた子供の中の一人が、ふとソラヤの顔をじいっと見て、訊ねた。

「おねえちゃん、エルフ?」
「そうですよ」

 ソラヤが頷くと、子供達はまたわいわいと口を開いた。

「こないだも、エルフのひと、来たんだよ」
「そうそう! ケガしてて、先生にみてもらってた」

 それを聞いて、ソラヤは目を丸くした。

「えっ? 本当ですか?」
「ほんと。おねえちゃんみたいな緑色の髪で」
「もうケガなおって、どこかに行っちゃったけど」

 ソラヤは息を飲んだ。
 魔物に襲われて散り散りになってしまった、ソラヤの故郷の森の仲間には、
緑色の髪をした者が多かった。もしかすると……。

「それ……私の友達かもしれません。
 どこに行ったかわからなくて、探してたんです。教えてくれてありがとうね」

 そう言って、ソラヤが子供達の頭を撫でてやると、
彼らは目をぱちくりさせて、「そうなの?」「会えるといいね」と、気遣うような声で言った。
ソラヤは子供達に微笑みかけて、頷いた。

 話しているうちに、治療院の建物が見えてきた。
子供達は一行から離れて、先に建物の傍までわらわらと駆けてゆくと、声を合わせて呼びかけた。

「先生ー!」

 すると、治療院の中から、「はーい?」と、可愛らしい声が返ってきた。

 治療院の扉を開き、姿を現したのは、子供達と同じくらいの背格好の女の子だった。
 女の子は、子供達を見、その後ろからやって来る一行に気がつくと、
ぽかんとした様子でまばたきした。

「お医者様ですか? 薬を届けに来た冒険者です」

 と、フィオナが女の子に向かって訊ねた。
 ユーリは改めて、女の子の姿をよく見てみて――
淡い朱色の髪から覗いた、少し尖った耳に気がついた。

(この子……いや、この人、もしかして――ドワーフ?)

 女の子――に見えるその人は、「あらま」と、なんだか嬉しそうに笑って、頷いた。

「遠い所を、来てくれてありがとう。私はロゼよ。
 このおちびが医者だって、よくわかったわね。
 ……ドワーフだから、これでも大人なんだけどね」

 子供達は「一目で先生の正体をみやぶった……!」「冒険者ってすげー!」
と、わいわいと騒いでいる。

「宿に、ドワーフの仲間もいますから」

 とフィオナが言って、ユーリ達も頷く。
妖精のとまり木亭の、ドワーフの仲間――クラリッサは、
ユーリ達よりも年下の子供なのだけれど。

「ああ、なるほどね」

 ロゼは納得した様子で頷いた。
それから、子供達に向かってぱんぱんと手を打ち鳴らして、

「はい、みんなは案内ご苦労様でした。もう帰りなさいね。
 先生と冒険者さん達は、お仕事の話をするから」

 子供達は、ええー、と不満げな声を上げていたけれど、
名残惜しそうに一行に手を振って、駆け去っていった。

 ロゼは子供達の姿が見えなくなるまで見送ると、一行に向き直って、

「さ、中へどうぞ」

 と微笑んで、扉を手で指し示した。

 治療院の中は、少しつんとした薬の匂いが漂っていた。
 建物の奥に、ロゼの休憩室兼客間らしい部屋があり、一行はそこに通された。
 ロゼは一行が運んできた薬を確認すると、頷いて、

「ありがとう。本当に助かったわ。
 ――はい、これが代金。ハルネスさんにも、よろしく」

 と、代金が入っているらしい袋を、フィオナに手渡した。
フィオナは袋をじっと見たあと、それをシェベットに預けた。
 シェベットが中身を数えている間に、ロゼは一行にお茶を出してくれた。

「結構な道のりだったでしょう。道中、大丈夫だった?」

 淡い朱色の髪を揺らして、首をかしげる。

「獣や魔物は、まあ、慣れていますから」

 フィオナがそう言って、それに付け足すように、ソラヤが口を開いた。

「それと、盗賊も出ました。薬が目当てだと言っていましたよ。
 追い払いましたから、ここまでは来ないと思いますが……」

 ロゼは「ええっ?」と目を丸くした。
そして、すぐに何かに思い当たった様子で、届けた薬の中から、瓶を一つ持ち上げた。

「これが目当てだったのかもしれない。
 メミュールっていう植物から作られた、痛み止めの薬なんだけどね。
 よく効くんだけど――使い方を間違えると、ちょっと色々、ややこしいことになるのよ」

 言いながら、ロゼは薬の瓶を振った。瓶の中で、薄い蜜色の液体が揺れる。
 代金の袋を閉じたシェベットが、顔を上げた。

「あっ、聞いたことあるぞ。元の葉っぱも、食ったりすると、
 やたら楽しい気分になったり、幻覚を見ちまったりするんだっけか」

 ラーフラも、ああ、と頷いて、

「それで作った香を焚くと、目覚めていながら『箱庭』に意識を繋ぐことができるそうです。
 ……師匠は、そんなことは修行すれば出来るようになるから邪道だ、と言っていましたが。
 それに、魔術師でなくても、『箱庭』の領域に、
 マジックアイテムの力を借りずに入ることができるとか。
 薬でも、似たようなことができるかもしれませんね」

 二人の言葉を聞いて、ユーリは眉を曲げた。

「ちょっと怖い気がするな、それ」
「怖いと思えればいいが、好奇心で使ってしまう者がいるんだろうな」

 と、サニーが言って、ロゼは頷いた。

「奪って、そういう人に売ろうとしたんでしょうね。
 どんな薬でも、使いすぎると毒になってしまうのは一緒だけど、
 こういう、使って楽しいような気がしてしまうものって、癖になりがちだから……。
 そっか。それは大変だったわね」

 ロゼはそう言うと、顎に手をあてて、何か考えるようにしたあと、顔を上げた。

「みんな、お昼がまだだったら、私と一緒に食べに行かない?
 盗賊に遭っちゃった危険手当……代わりにもならないかもしれないけど、奢るわよ」

 ラーフラがごくりと喉を鳴らしたのを、その場にいる全員が聞いた。
あっ、と思った仲間達が止める間もなく、ラーフラは晴れやかな声で答えた。

「ほ、本当ですか? それはぜひとも」

 ロゼはにっこりと頷いた。

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